テレビやネットニュースなどでは、「空き家問題」を頻繁に取り上げていますね。
誰も住まなくなった空き家が管理されることなく放置されることで、さまざまな社会問題が発生するのが空き家問題です。
空き家の所有者のうち約55%の人は「相続」によって空き家を取得したことがわかっており、多くの人は親が病気になったり、なくなったりすることで問題に直面します。
空き家問題は経済的にも大きな影響を与えるため、きちんと理解しておくことが大切です。
親が住宅等の建物を所有していて、将来的に相続する可能性がある方は、今すぐにでも「空き家相続」の対策を始めましょう。今回は、親が元気なうちにしておきたい4つのことと題し、具体的な対策をご紹介します。
目次[表示]
1. 家をどうするのか、親の意向を聞いておく
親が元気なうちに、家をどうしたいのか親の意向を聞いておきましょう。
これは、相続空き家が増える原因に「親の意向がわからないから」という理由をあげる人が少なくないからです。
親が住んでいた家を、相続したからと言って勝手に売ったり貸したりするのは気が引けるものです。「取り壊したらお父さんが悲しむかな……」などと思うと、迷うのは当たり前ですよね。
そのため、親が元気なうちから家をどうしたいのか聞いておくようにしましょう。
「子どもたちがきっと住んでくれるだろう」と期待するパターンもあれば、「空き家になったら、貸すなり壊すなり好きにすればいい」と委ねてくれるケースもあるかもしれません。
保存するにしても、取り壊すにしても、親の意向がわかっていればよりスピーディーに決断をくだせます。
相続といえば相続人同士のトラブルもよくありますね。こんなときも親の意向がわかっていれば、きょうだい間で揉めるリスクも減らせます。
2. 農地や山林の所有も確認を
地方に暮らす人の場合、農地や山林を所有しているケースが少なくありません。自宅の以外の不動産も当然相続の対象になり、相続すれば管理する義務が発生します。
農地や山林は子ども世代が詳細を把握していないことも多いです。親世代が元気なうちに、田畑や山林の場所などを教えてもらい、将来的な意向を尋ねておくと良いでしょう。
農地や山林の管理はひと苦労です。親が年老いてきたら管理も大変になり、休耕地になるケースもあります。管理コストもかかるため、親が元気なうちに処分をしてしまうのも一つの手かもしれません。
3. 国や自治体の制度を調べておく
自治体によって違いはあるものの、空き家に関する制度を制定している自治体は少なくありません。100万円以上の補助金が出るケースもあるので、相続により空き家を処分する際には必ず調べてください。
中には補助金の対象にならないケースもあるため、諸条件を確かめておくと安心です。
例えば、解体に補助金が出るケースや、空き家の改修やリフォームに補助金が出るケースもあります。空き家を賃貸として貸し出す際や、不動産売買を利用する際など、経済的負担を軽減してくれる制度もいくつかあるかもしれません。
具体的にはどんな制度がある?
あかり不動産のある神奈川県大和市を例に出してみましょう。大和市では、以下のような制度が利用できます。
空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万特別控除)
空き家や敷地を売却した際、一定の要件を満たせば譲渡所得から3,000万円が控除される制度です。
低未利用土地等の譲渡に係る所得税および個人住民税の特例措置
空き家や敷地を売却した際の取引額合計が500万円以下の低未利用土地等の場合、長期譲渡所得から100万円が控除される制度です。
また、関連する制度として、耐震化促進に向けた制度や不燃化・バリアフリー化改修工事費補助金などもあります。制度については相談窓口も設けられているため、お住いの自治体に尋ねてみてもいいかもしれません。
参照:大和市の空き家対策(https://www.city.yamato.lg.jp/gyosei/soshik/35/akiya/4707.html)
4. 早めにプロに相談しておく
将来的に空き家を相続しそうなら、早めに不動産のプロに相談しておくことも有効です。
不動産屋さんに相談すれば……
「少しだけリフォームすれば賃貸物件として貸せますよ」
「将来住みたいなら、そのときまで賃貸として貸し出しましょう」
「更地にすればすぐに買い手がつくかもしれません」
「管理が大変なため、不動産買取で手放して現金化してみては?」
「業者を入れて定期的に管理させれば、将来自分が住むこともできますよ」
「土地を分割して売り出すのはどうですか?」
といった具体的なアドバイスや事例を紹介してもらえるでしょう。
不動産業者はその土地や建物がいくらくらいで売れるのか、相場を教えてくれる存在でもあります。リフォーム業者など施工会社とのつながりもあるため、一般的な工務店などを通すより安く工事できるケースもあります。
プロのアドバイスは的確です。空き家相続の対策方針に迷っているなら、時間を無駄にしたくない人ほど、不動産業者に相談してみてください。※もちろん、あかり不動産もご相談にお答えします!
知らないと怖い「相続放棄」のリスク
管理が面倒な空き家、農地、山林などは「相続放棄すればいい」と思っている人も多いかもしれません。しかし、空き家や農地などの不動産は、次の持ち主が現れるまでは相続放棄してもメンテナンスの義務があります。
なぜ管理義務があるのかというと、管理する人がいなければ小動物等が住み着いたり、雑草が生い茂ってしまったりするなど、周囲にも悪影響を与えるためです。
そのため、次の管理者となる人が現れるまでは、もともとの所有者が不動産を管理していく必要があります。これはイコール、相続放棄しても管理コストがかかることを意味しますので、金銭の蓄えがない人にとっては、危機的な状況にもなりえるでしょう。
そのため、不動産の相続人になる見込みがある場合は、早めに処分方法を検討し、準備を始めることが大切です。親の元気なうちから対策を取ることが、のちのちのために重要になります。
空き家相続を不幸なものにしないために
親から相続するもので不幸になることは、多くの人が望まないはずです。「空き家を相続したらすぐに売却する」と心が決まっているだけでも、初動が早くなり、より良い状態で不動産を売ることが可能になるでしょう。
保存するにしても、管理にかかる費用などを見積もっておけば、事前に備えることもできますね。親から受け継ぐ大切な不動産だからこそ、早め早めに対策しておきましょう。