不動産の用語解説 不動産売買

ボヤは告知事項? 不動産売却においての4つの瑕疵類型

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不動産売却の際に家に不具合があったら、必ず瑕疵があるとして買い主に告知しなければいけません。

過去に泥棒が入った、孤独死したなど、告知しなければいけない項目は多々あります。

では、ボヤが起きた家で、すでに修繕をしてキレイになっている物件は、告知義務があるでしょうか。

今回は「ボヤは瑕疵として告知する義務があるのか」の疑問に答えるかたちで、瑕疵の範囲について解説します。

4つの瑕疵の類型についても触れますので、ぜひ一緒に勉強しましょう。

不動産売却時の告知事項

家やビルなど、不動産を売却する際、その不動産に瑕疵がある場合は、その瑕疵について購入希望者に告知しなければいけない瑕疵担保責任という義務があります。

万が一この告知を忘れてしまうと、瑕疵の告知義務違反です。

告知義務に違反した場合、宅地建物取引業法第47条第1号により、2年以下の懲役、または300万円以下の罰金やその両方が科せられるとしています。

罰則の重さから、ことの重大さが理解できると思います。

この瑕疵には主に4つの類型があります。まずは告知義務を果たすためにも、各累計について理解しておきましょう。

心理的瑕疵

事件や事故などが起こった物件で、心理的に避けたいと思わせる瑕疵のことです。

最近では、孤独死があった物件も心理的瑕疵にあたります。修繕をすれば瑕疵が免除されるといった対応策もないため、不動産業者の頭を悩ませる瑕疵と言えるでしょう。

環境的瑕疵

物件の近所や周辺に物件を避けたくなるような事情を抱えている物件を指します。

例えば、指定暴力団が近隣に住んでいたり、隣に墓や神社仏閣があったり、ゴミ処理場などの匂いがたつ施設があったりする場合、環境的瑕疵によって告知義務が発生します。

物理的瑕疵

雨漏りがする、シロアリが出るなど、物理的な不具合を物理的瑕疵といいます。瑕疵の内容によっては修繕することで解決できますが、過去に修繕したことを伝える必要のある瑕疵もあります。

あとあと問題になる前に、不動産売却の際には瑕疵にあたりそうな事柄は不動産業者に伝えておくのがいいでしょう。

法的瑕疵

建築基準法、都市計画法、消防法の3つの法律のうち、いずれかに違反していたり、制限を受けたりしている場合、法的瑕疵があるといいます。

法的な違反は摘発の対象になるため、必ず告知義務を果たさなければなりません。

また瑕疵内容を見ると、スプリンクラーや避難はしごがない等、法的瑕疵物件は購入者を危険にさらす物件であることも多いです。

ボヤは心理的瑕疵にあたる?

さて、ひと通り瑕疵について見てきました。ここでタイトルにある質問に戻りましょう。

ボヤは心理的瑕疵にあたるのでしょうか。

前項でも触れたように、心理的瑕疵は自殺や殺人事件、事故によって人が亡くなった物件など、「避けたい」と思う心理を理由にします。

不動産内で起きた事故や事件に限らず、下水処理場や火葬場が近くにあったり、反社会的勢力の事務所があったり、他にも、不動産のある近所で起きた大きな事故も告知事項の対象です。

なぜなら、すでに跡形もなく処理されているとしても、「嫌だな」「避けたいな」という感情はなかなか消えず、心象を悪くするという意味では物件の傷(瑕疵)に違いないからです。

さて、ここでまた話をボヤに戻します。ボヤの場合は心理的瑕疵の告知事項にあたるでしょうか。

答えは、イエスです。

「こんなボヤくらいで……」と思うような小さな規模のボヤもあるでしょう。

しかし、ボヤの告知を怠り、それを告知義務違反とした判例も出ているため、損害賠償責任のリスクを避けるためにもボヤは告知したほうが無難です。

火事やボヤの場合は、周辺住民の記憶にも残りやすく「ボヤのあった家」等と購入後に指摘されることもあります。

他人からボヤの出た家に住んでいると言われることを、好ましく思わない人は多いはずです。このような理由からも、ボヤは心理的瑕疵に含まれます。

ボヤがは物理的瑕疵にもあたる

火事やボヤに関しては、さらに物理的瑕疵にも該当します。

なぜなら、ボヤにより損傷した壁や天井、キッチン台等は、いったん修繕しても、その後しばらく経って不具合が出てくることがあるからです。

熱のダメージは予測がつかず、床板が剥がれた、扉が開閉しにくい、雨漏りしたなど、建物自体に大きな影響を与えるケースがあります。

「もしかしたら影響が出るかもしれない状況」は、物理的瑕疵として買い主に伝えなければいけません。

見た目に損傷部分は少なくても、告知を怠らないようにしましょう。

そもそもボヤとはどういう火事のこと?

ボヤといっても、どれくらいの被害があるものなのか想像がつかない人は多いでしょう。

そもそもボヤにはいくつかの定義があり、中でも参考になるのが消防署が定めた定義です。

消防署は「建物の焼き損害額が火災直前の建物評価額の10%未満」であり、かつ「延べ面積1平方メートル未満が焼損した」場合をボヤとしています。

焼き損害とは、建物や家財などが火事で焼けたことによる損害額のことです。

他にも、保険会社は「一部損」や「部分焼」の状態をボヤとしているようです。

具体的な例では、建物評価額が3,000万円ほどの建物で、焼損害額約500万円、消化損額約200万円の場合に、一部損(ボヤの範囲)とした例があります。

消防署にしても、保険会社にしても、ボヤかどうかは損害額が影響するのが意外で面白いですね!

火事やボヤでも瑕疵にあたらない?

過去には、火事のあった家に対し、心理的瑕疵はないとした判例があります。

その理由は、火災が起こってから17年が経っており、周囲の住民なども火事についてほぼ覚えていないという状況にあったからです。

このように、不動産の状況や周囲の環境によっても瑕疵の有無は変わる可能性があります。

素人判断で「瑕疵がある/ない」と決めるのは難しいです。

ボヤは告知が必要! 瑕疵の範囲は素人で判断できない

ボヤは心理的瑕疵と物理的瑕疵の観点から必ず告知が必要です。

不動産を売却する際にはボヤに限らず、その家や建物においてどんな事件や事故があったか、包み隠さず不動産業者に伝えてください。

見落とせば後々損害賠償責任を負い、大きな損を抱えることにもなりかねません。瑕疵にあたるかどうかは素人判断せず、プロに頼りましょう。

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