洋風建築の家が多い昨今ですが、それでもあえて畳の和室を備える住宅もあります。畳のある和室で寛ぐのが好きだという人も少なくありません。この記事では、不動産投資における和室のメリット・デメリットや、一律に洋室へリフォームしてしまうことについての良し悪しについて触れていきます。不動産投資のヒントにしてみてください!
暮らす人にとっての和室があるメリット・デメリット
まずは一般的に言われている和室のメリットについてみていきましょう。暮らす人にとっては、どんな利点があるのでしょうか。
用途を選ばない
子ども部屋や寝室、来客用のゲストルームなど、使い方を選びません。クッション性がある畳の部屋なら、子どもが転んでも安心。底冷えしにくいため寝室にもおすすめです。畳の上で使用できる椅子もあるため、洋室のようにして使うことも可能です。
リラックス効果がある
畳の原料であるい草の香り成分は、リラックスできることで知られています。い草はホルムアルデヒドを吸着するため、シックハウス症候群が気になる方にもおすすめです。
空間の調湿に優れている
畳のい草は湿気を吸う性質があります。高温多湿の日本の夏を快適に過ごせる、昔からの知恵です。
一方、デメリットとして指摘されるのは、
- カビやダニが繁殖しやすい
- 汚れやシミが残りやすい
- 定期的なメンテナンスや表替えが必要
などです。
畳は湿気がこもりやすいため、カビやダニが繁殖しやすい環境です。畳の目にホコリやチリなどが入り込めば、カビやダニはさらに増殖しやすくなります。
畳は洗うことができないため、お茶やコーヒーなどをこぼすと色素沈着し、シミとなります。また、畳は定期的に表替えが必要になるため、フローリングなどに比べると手入れも手間です。
不動産投資をする人にとっての和室のメリット
和室の部屋がある物件に、不動産投資をするメリットはあるのでしょうか。
和室を好む層もいる
子育て世帯の場合、子どもがケガをしにくいという理由で畳の部屋が好まれることがあります。マーケティングや売り出し方に工夫をすれば、和室が好まれる層にアプローチできるかもしれません。
騒音トラブルが軽減
畳はフローリングの床材などと比べると遮音性が高く、騒音トラブルを軽減することができます。騒音トラブルは空室リスクにも繋がる問題ですので、遮音性の高さは魅力です。
売れ残りの中には掘り出し物も?
和室は洋室に比べ安く取引されています。安く仕入れ、洋室へリフォームし、賃貸で収益を上げられれば、それは魅力的な物件ですね。
洋室へのリフォームはコストがかかる場合もありますが、工夫すれば費用を抑える方法がないわけではありません。立地などに問題がないなら、一度リフォーム費用を踏まえたうえで投資を考えてもいいかもしれませんね。
不動産投資をする人にとっての和室のデメリット
不動産投資には不向きとされている和室ですが、あらためてデメリットをあらってみましょう。
一般的には和室は不人気
和室や畳のある間取りは、賃貸物件としては不人気です。不人気の理由は、見た目に古臭かったり、洋室向けの家具が合わなかったりするからと考えられます。とくに和室しかない家はほとんど人気がありません。
また、人気がないため家賃も安いです。不動産投資の初期コストも抑えられるかもしれませんが、空き家リスクの高さと低収益な面は見逃すことができません。
洋室へのリフォームに多額のコスト
物件にもよりますが、洋室へのリフォームには多額の費用を要する場合があります。物件を安く購入できても、初期のコストが高いのは投資としては考えものです。リフォーム有りきの投資なら、考え直したほうがいいかもしれません。
また、最近では資材が高騰しており、以前よりもさらに費用負担は増える傾向にあります。キャッシュフローを計算し、具体的に収支を比較するようにしましょう。
職人がつかまらない!?
和室を洋室へとリフォームする経験をする職人は、段々と少なくなっています。そのため、いざリフォームを依頼しようと思っても、スケジュール通りには施工できない可能性があります。和室のリフォームやメンテナンスは、それだけでとても手間のかかるものだと理解しましょう。
和室を洋室にリフォームすることについて
和室への不動産投資を考えるとき、必ず「洋室にリフォームすること」を考えますが、一概に洋室へのリフォームがいいわけではありません。
和室は唯一無二の物件になる?
洋室は柱が壁の中に隠れる工法が採用されていますが、和室は壁から柱が露出している工法が用いられます。これを真壁といいます。この特徴を使えば、インテリアを特別なものにすることが可能です。
例えば、黒塗りの柱と白壁と合わせれば、洋室にはないキリッとした内装に作り上げることができます。他にも、奥行きのある押し入れはふすまをはずし、オープンなクローゼットやパソコンデスク等にリフォームするのもありです。
押し入れはベンチやベッドなどに生まれ変わらせ、活用する例もあります。洋室にはないテイストがあり、むしろ、和室のリフォーム物件を魅力として捉える人も少なくありません。
もし、和室を潰してしまえば、個性的な物件を誕生させる機会を失うことと同じ。あまりにもったいないです。
魅力的な部屋がつくれるなら、あえて和室であることを生かして、物件の強みにかえるのもアリでしょう。人気物件となれば空き室のリスクも減り、和室でありながらも家賃の値下げを抑えられる可能性もあり、むしろメリットです。
和室でも空室が出ないようにするには
和室に限ったことではありませんが、空室リスクを減らすためにはその物件の魅力を購入者や借り手に伝えることが大切です。「和室が好き」という顕在層だけでなく、「リラックス効果がある」「他にはないインテリアが楽しめる」など、潜在層に訴えかけることができるポイントは多様です。
最近では、外国人の入居者に和室が人気だという話もあります。うまく運用するためのポイントはマーケティングといえるかもしれません。
まとめ
不動産投資において、和室はデメリットの多い物件です。投資を決めるさいには、必ずキャッシュフローを確認し、空室リスクに対する対策をきちんと講じましょう。洋室へのリフォームは空室リスクを軽減させますが、没個性に陥り、他の物件との差別化が図れなくなる可能性があります。魅力ある物件へとリフォームさせるなら、和室を生かしたリフォームも一つの選択です。物件の状況、立地、費用や収益計算など、多角的に検討して投資しましょう。